2017
03.03

塗っただけで準不燃材料になる塗料は存在しない【その理由解説】

よく設計事務所関係の方からご連絡頂く事が多い項目です。また、このサイトで最も閲覧回数の多い記事です。

「木材に塗っただけで準不燃材料になりませんか?」

残念ながら現在の法律下では「その様な塗料は存在しない」というのが弊社の見解です。

内装制限等で室内に木材を利用したい等の需要がある場合にお問合わせを頂きます。レストラン、商業施設等の内装に木材を利用して、既に作ってしまった、設計の段階で関係者が制限を見落としてしまったという事が、あるようです。

あまりにもお問合わせが多いので、国土交通省に連絡して確認してみました。

当社「塗るだけで準不燃材料になる塗料はありますか?」
国土交通省担当者「規定量以上の薬剤が塗る事によって木材に入り込むならば、理論的には認定番号を付与する事はありえます。ただし、塗るだけで薬剤をそこまで多量に付与できる塗料は実際のところ在りませんよね?」
当社「塗るだけで準不燃材料といって販売している塗料があるようですが?」
国土交通省担当者「個別製品の詳細は分かりませんが、考えにくい事です。」

との事でした。この回答をもって弊社としては「塗るだけで準不燃認定を取得する事はほぼ無理である」と考えいます。
ただインターネット上ではクリアできると謳っている塗料もあり、認定も取得しているとの事なので例外的な措置があるのか、もしくは認定基準が不明瞭だった時代に取得し現在でも継続的に認定効果がある材料なのかもしれません。詳細は弊社でも把握できていません。

※追記

あまりにもお問合せが多い為、ネット上で準不燃認定や不燃認定と謳っている「不燃塗料」という製品の認定番号を調べてみました。いずれの場合も、その塗料単体ではなく、あくまでも基材(指定された木材や、金属)等に塗った状態で試験をした複合体に付与されているものであり、その塗料単体に付与されているものではありませんでした。その為、上記の不燃塗料単体では不燃認定の要件を満たさず、塗る事によって不燃材料となる事はありません。その塗料の製造工場(製造会社)が塗料を塗った物(複合品)として出荷する製品に認定番号が付与されます。塗料はあくまでもそれら工業製品の構成材料の一つにすぎず、それ単体では不燃材料として認められません。また、一部塗料に関しては基材が不燃材料(金属板)、不燃材料と指定されており、塗料によって不燃性能が付与されているのか、そもそもが燃えない(基材)材料なのではないか?という事が判断できませんでした。わかりやすく説明すると、元々燃えない材料の上に、これらの塗料をを塗り、不燃認定試験を受けているという事です。

これら製品HPの表記にはそれらが分かりやすく明示されていない為、使用者に誤解を与える恐れがあります。あまり、誠実な表記とは言えないでしょう。

よって、それらの「不燃塗料」と謳われている製品を、例えば、無垢の内装木材に塗っても不燃材料・準不燃材料とは認められません。メーカー、紹介者等の情報だけではなく、実際の使用に際しては行政機関に確認の上、ご使用いただく事をお勧めします。

内装に木質感を出したい場合は天然突板不燃合板を利用すれば解決できると思います。
どんなものなのかは後ほど紹介します。

実際に不燃木材研究に携わっているものとして、準不燃材料の認定試験はかなり厳しいと感じています。750℃の熱を加え続けて10分間耐えて初めて準不燃材料の最低基準クリアです。
750℃の熱を10分間も加え続けたら大抵のものは燃えます。木材は簡単は発火して炭になります。
その様な過酷な状況を乗り切る為に、後塗りの不燃塗料程度ではまず無理です。

こちらはバーナーであぶった薬剤処理をした木材です。

不燃塗料と弊社水溶液はよく混同されるので説明したいと思います。

不燃塗料は「それ自体が燃えない」事を前提に開発された塗料です。塗料は石油系の製品が多い為通常は可燃物です。しかしそれ自体を燃えにくくすることで、例えばコンクリートの上に塗っても燃えにくく、それ自体で炎や熱量を大きくする可能性が低いという塗料です。

ですから不燃塗料は塗料それ自体が燃えないものであり、弊社の水溶液は木材に不燃性能を付与するもの認識されます。

不燃認定と防炎認定の境目が一般的には分かりにくいようです。
この2つはかなりレベルが違います。防炎認定はこれら不燃塗料や難燃剤を塗った程度でパスできるレベルです。一方不燃認定は塗る程度では性能が足りず、大量の不燃液をしみこませてやっとパスできるレベルです。
しかし分かりにくい為、よく混同されます。

内装制限にはかかっていないものの消防検査でNGだったというご相談を多く頂きます。この基準は消防官のさじ加減で決定される為明確な基準が無いのが現状です。(※建築基準法を読んだ限りではそうでした。)
※明確な基準があるようであれば教えて頂ければ幸いです。記載させていただきます。

その際に消防官からこの様な事を言われます。

「不燃認定番号が付与されている施工をしてください。」

簡単に言います。かなり簡単に言ってきます。消防官によっては「塗る」事で不燃認定番号が取得できるものが存在すると認識している方もいるようです。(※これがかなり多いです。)
しかし、それは大きな認識違いであり、この言葉が出てしまうと建築側はお手上げです。塗りでは認定番号が出ませんので、消防官の指示に従えない事になります。

またこんな事を言ってくることもあります。

「不燃処理をしてください」

これも困ります。消防法の中に不燃処理の定義が記載されていません。その為明確な処理方法が無いのです。故に不燃処理とは何ですか?と質問してしまうと、「認定番号を提示してください」と言うと事に落ち着いてしまいます。こうなるとまたまたお手上げです。
防火処理に関しては消防法の中に規定されていましたが、これも工場で生産して試験をクリアしている事を前提にしてあった為、現場塗布で処理と認められるかどうかは不透明です。(※仕組み的には認められないと考えられます。)

消防署の言う、不燃処理が(不燃材料)なのか(防炎材料)なのかによって難易度に雲泥の差があります。
ちなみに不燃材料や防炎材料は現場生産は出来ません。工場で生産される事を前提に認定番号が付与される為、現場で必要な処理(塗装)したとしてもそれは認定対象外です。
認定番号が付与されるにあたっては、製造工場の視察がありその管理下で製造される事が条件として付属されるからです。
木材は工業製品と違い一つ一つ異なります。その為、製品のぶれも大きく製造工程の管理も重要だと考えられています。

先日も「仕上げ材を不燃処理してください」と言われたといって問合わせが入りました。
この言われ方は困りますよね。不燃処理ってなんですか?と。
しかし、なんですか?と聞いてしまうと「認定番号提出」と言われてしまいハードルが上がってしまうので聞けないというジレンマがあります。

実際にこういった状況で深みにはまってしまい、消防から役所の建築課へ確認してくれと言われ、建築課の言う不燃処理は認定番号の事なので、認定番号は現場取得できない為、内装処理できないという場面に幾度となく遭遇しました。

こういった場合には弊社材料の燃焼試験映像やその他データを提出いただく事で消防署と協議して頂きます。
場合によってはそれでOKが出るケースもあるようです。
詳しくはご連絡ください。

さて、冒頭で述べて天然突板不燃合板はこういったものです。
厚みは選べます。こちらはナラ(ホワイトオーク)突板合板です。広葉樹なので不燃木材では存在しない樹種です。



こちらは6㎜タイプのものです。
表面は天然木材で、下地はダイライトという不燃材料です。この組み合わせで不燃認定を取得しています。
表面の樹種は変更可能です。

不燃木材特有の白華や結露問題も発生しない為、このような材料を利用するという事も解決策の一つです。
この製品は弊社でも製造調達可能です。
詳しくはお問い合わせください。
お問い合わせはこちらから

ただ、不燃突板化粧板にも問題が無いわけではありません。上記の製品は無塗装品です。しかし現場では塗装しないと手垢等の対策が出来ない為、クリアコーティングを行う事になると思います。でも、塗装してしまうと不燃認定品ではなくなります。一般的なクリアコートは石油由来の可燃性材料であり、燃料となり強い炎を発生させてしまうからです。

不燃認定はあくまでも無塗装の状態で付与されています。

ネットでの購入が可能です。興味のある方はお試しください。
【公式】SOUFASHOP
下記記事にも詳しく記載していますのでご一読ください。
SOUFAを使って消防署と協議する
SOUFAを塗ると消防検査をクリアできますか?

SOUFA(ソウファ)の燃焼実験です。刷毛で2回塗りです。

下記はSOUFAの施工性が分かる動画です。

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