2020
07.03

従来の白アリ防除の考え方

日本の建築は建築基準法を拠り所として建築されています。これはあくまでも新築時の機能や措置を定められたものであり、経年劣化への対応については言及されていません。そして、そう言った事は想定されないことになっています。

また、これらの措置を行ったとしても蟻害や腐朽の被害が起こらないことを保証しているわけでもありません。

更に、施行令は具体的な防蟻仕様について、具体的には定められていません。その為有効な防蟻・防腐措置については白対協、日本木材保存協会が拠り所にされています。

しかし上記には致命的な欠点があると言われています。それらの規定はかなり昔に制定されており、主に日本の在来種のシロアリが想定されています。しかし、実際にはアメリカカンザイシロアリを代表とし、外来種のシロアリは想定されていません。

具体的にどういうことかと言うと、在来種のシロアリと外来種のシロアリは侵入経路や行動が全く異なるという事なのです。

今まで日本では、シロアリは地面から100%入ってくると考えられていました。ですから、既存の防除は主に地盤面から1mまでの対策で十分だとされており、現在もそれ以上の規定はされておらず、新築住宅のほとんどが1mまでの処理です。

しかし、アメリカカンザイシロアリは羽があり、軒裏換気口から入ってくることが確認されています。すでに沖縄ではそれらの被害が報告されており、住民には夜の街灯にアメリカカンザイシロアリが群がる光景がお馴染みとなっています。

またそれらを見越して住宅全体の木部全体に処理を施す会社があってもよさそうなものですが、残念ながら、そういった会社は日本ではほぼ存在しません。オプション設定している会社もほぼ存在しないと考えられます。

さらに、在来種のシロアリは湿気が無いと生きてゆけないと考えられていました。しかし、アメリカカンザイシロアリはその名の通り「カンザイ=乾材」を好み、湿気が無い場所でも木材を食害します。

屋根から入ってきたり、輸入家具に寄生していたりと、事実上、完全に侵入を防ぐことは不可能だと言えます。

ですから、今までの地面から1mまでの処理という考え方自体が、現在では通用しなくなってきていると考える事が妥当でしょう。

では現在使用されている薬剤で木部全体や住宅周りの土壌を薬剤処理するという事が考えられます。しかしながら、クロルデンなどの有機塩素剤による環境汚染が発生したことから、仕様書が改定され、建物外側の土壌処理に関しては原則行われない事となりました。また、クロルデンに変わって使われるようになった有機リン系化合物のクロルピリホスはシックハウス対策にかかる2003年の建築基準法の改正で、居室を有する建築物への使用が禁止された。

こういった背景から、現在主流の農薬系防蟻剤は建物全体に施工するにはリスクが高すぎると言えます。

現時点でアメリカカンザイシロアリに対しては無機系化合物であるホウ酸の使用が有効であると証明されています。ホウ酸は揮発しない為、シックハウスの原因にもならず、万が一体内に入ったとしても哺乳類に対する毒性は極めて低い事も確認されています。ですから、ホウ酸の建物全体処理が声高に言われてもよさそうなものですが、そういった声はほとんど聞こえません。

確かに、ホウ酸のデメリットとして水に流れやすいという欠点があります。しかし、それらを差し引いてもホウ酸の全体施工は十分な効果があると考えられます。その証拠にハワイやニュージーランド、アメリカでは農薬系薬剤はほとんど使用されず、ホウ酸の使用が標準となっています。

さらに、アメリカカンザイシロアリの繁殖に関しては有効な対策が取られておらず、これから自然に繁殖する事が恐れられています。今は問題の無い新築住宅でも、30年後の日本にはアメリカカンザイシロアリが在来種のシロアリと変わらず生存するようになった時には、ほぼ丸裸の無防備な木造住宅だといえます。

ホウ酸は一度施工すると半永久的に効果が持続します。ですから、新築時の木部全体施工が最も効果的です。