2020
07.20

ナント大聖堂【なぜ火災を防げないのか?】考察

フランス西部ナントにある大聖堂で18日、火災が発生しました。放火の疑いがあるようで、数か所から出荷したそうです。2019年にもノートルダム大聖堂で火災があったことは記憶に新しいかと思います。

あまり知られていませんが、世界では毎日のように歴史的建造物が火災で焼失しています。日本も例外ではなく、首里城をはじめ、様々な建造物が火災で消えています。

当社は元々新潟中越沖地震の際に発足したNPO団体を起源としており、会社の社是として「減災」を掲げています。その中で木造火災に注目し、会社発足以来燃えない木材(不燃木材)の研究を行っています。

ですから、歴史的建造物の火災のニュースに触れる度に悔しい思いをしています。そこで、当社の知見と現状の歴史的建造物の火災や防災、防火について考察してみようと思います。

以前に、京都府防災消防企画課という所に、防火に対して当社でお手伝いできることがないか?と連絡をしたことがあります。

そして、京都府教育庁指導部文化財保護課建造物担当の方から丁寧な回答を頂きました。その回答が下記です。

 「寺社に対する防災対策ですが、おっしゃるように、まず火を出さないようにする意識や体制の啓発と、消火設備等の設置が重要です。

 しかし、国指定文化財建造物に関して申しますと、材料そのものに薬剤を付加して、難燃性を高めるということはしておりません。それは、部材一つ一つがその建物の歴史的価値を包括しているものあり、むやみに新しいものを加えないというのが、修理の原則であるからです。従来の状態のまま、できうる限り保存を図ることが原則になっています。(要所に、防蟻剤を塗布することはあります。)

 確かに燃えにくくなるという事象は、一つの防災の考え方ではあると存じますが、文化財建造物自体は、今後何百年も継承していかなければならないものであり、その薬剤が将来どう変化していくのか或いはどんな影響を与えるものなのかは未知数であると考えます。」

一般の方には少しわかりにくい表現かもしれないのですが、要するに歴史的建造物は基本的には手を加えないことが前提になっているという事です。防火、防炎という考え方ではなく、どちらかというと「消火」という考え方があるようです。火がついてからどの様に消すのか?という事が焦点になっています。

ですから、そもそも火が付かないという事は想定されておらず、火が付いた場合にどの様に対策をするのか?という考え方となります。歴史的建造物のどういった箇所に価値を置くのかによって対策が異なる事はよく理解できます。ただ、この考え方には大きな欠点があります。それは、普段は人が立ち入らない歴史的建造物や山奥等で消防車が入れない建物が火災になった場合には一切手が出せないという事です。

現時点では、一旦燃える事はある程度やむを得ないという施策にならざるを得ないと言えるでしょう。世界的にも同じ傾向があるようです。日本では文化庁が文化防災デーという日を設定しており文化財保護が啓蒙されています。しかし、その内容はやはり、「消火」がメインであり、「防火・防炎」には触れられていないというのが実情です。

ですから、これからも歴史的建造物の火災消失は度々、発生してしまうと思います。我々の力はまだまだ及ばす、悔しい限りです。

SOUFAを木部にぬってあれば、ある程度は防ぐことが出来たと思っています。