2019
11.01

首里城火災を受け京都の“世界遺産”で緊急会議は意味があるのかを考察してみる

首里城火災を受け京都の“世界遺産”で緊急会議が開かれた模様です。
下記NHKのリンクです。
首里城火災を受け 京都の“世界遺産”で緊急会議
業界各所にとってとてもショッキングな出来事であったという事がうかがい知れます。

既存設備の点検や強化をなどを再確認するという事が意識共有されたそうです。
しかし、当社としては疑問があります。
何故なら、ここで話し合われている内容はずっと昔から話がされてきた事と全く一緒であると思われるからです。

会議の内容を読んでいただきたいのですが、基本的に「燃え始めてからどうやって消火するか?」という議論に終始しています。
そもそも「燃えない様にしよう。」という考え方がごっそり抜け落ちているのです。

これだとまずは燃える事を容認しなければなりません。
今回の首里城火災の様に風にあおられて一気に火の手が大きくなってしまった場合は、ほぼ対応が難しいでしょうし、少しでも火が出てしまえば文献等の文化財は簡単に無くなってしまいます。消防車が入れない山頂の祠はどの様に守るのでしょうか?燃え始めてしまったら止められません。

しかしこれまでも、そして今回も「そもそも燃えない様にする事は出来ないのか?」という議論にはならないようです。
木材の不燃化を研究している当社としては、こういった歴史的建造物火災のニュースが出る度に歯がゆい思いをしていますが、今回も越えられない壁を感じています。

当社には定期的に歴史的建造物保護についてご連絡が入ります。そして、たまたま本日、ある歴史的建造物復元案件で木製内部の難燃化処理を検討しているというご連絡を頂きました。
話ぶりからすると、計画当初から難燃性を付与する事を前提に考えられていたようで、今回の首里城火災の影響で急遽対策をしたという事ではなさそうです。

この様に、これから作られてゆく新規復元建造物に関しては難燃化をいう考え方が採用されているケースも珍しくありません。
しかし、既存の歴史的建造物への難燃施工はまだまだ考えられておらず、様々なハードルからこれからも考えられることがあまりないのではないかと懸念しています。
今回の首里城火災の場合は、そもそも復元案件であり、且つ過去に何度も火災にあっているという事から、外部的な施策ではなく建材自体を難燃性の物で考える必要があったのではないでしょうか?

現代では様々な建材メーカーが知恵を絞って沢山の難燃建材を生み出しています。
当社も微力ながらそれらのメーカーを協力して難燃建材の製造に携わっています。
しかし、まだまだ通常品よりもコストが若干高い事もあり使用用途は限られています。

これら難燃建材が一般住宅にも普及するようになれば、冬場の火災による事故も減るのではないかと考えています。

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