2025
09.26
Japanese cypress is eaten by termites

心材の耐久性区分D1(ヒノキ、ヒバ等)なら防蟻防腐処理はいらない?

ヒノキシロアリ

この「いらない?」には2種類の意味があります。まず一つが文字通り、木材の耐久性が高いので処理が不要であるという意味。そしてもう一つが木造住宅に関する法令や規格等の位置付けとして不要であるという意味です。

多くの住宅会社等が長期優良住宅(劣化対策等級2)やフラット35(劣化対策等級3)の基準に該当する事を目指すかと思いますので、法令や規格等で考えると、例えば、ヒノキの土台を使用した場合はそれらの処理は不要であると言えます。ですから、ヒノキで住宅を建てた場合は、防腐防蟻処理等の木材保存処理をしなくても高性能な住宅であると法律上(※)で判断してもらうことが出来ます。

※厳密には建築基準法に薬剤処理をしなさいとは記載されていません。「有効な防腐措置と、しろありその他の虫による害を防ぐための措置を講じなければならない。」と、ふわっと記載されています。とは言え、これを都度判定するわけにもいかない為、劣化対策等級ではそれらを、各種認定薬剤であるかどうかを拠り所として判断して運用しているという事が実態です。

さて、問題は本当に腐らないのか?アリに喰われないのか?という事です。日本はヒノキ信仰がとても強い国なので、ヒノキは万能な高級木材というイメージを持っている人が多いです。しかしながら、実際に耐久性があるのは心材の部分だけであり、辺材は耐朽性、耐蟻性が望めません。住宅性能表示の技術解説書やフラット35仕様書における保存処理に関する要約を確認すると、

木材の耐久性はどの樹種にあっても、心材
であることより十分に発揮されるものであ
り、辺材が含まれる場合は、防腐・防蟻措置を
講ずることが望ましい。(住宅性能表示技術解説)

木材の耐腐朽性・耐蟻性は、どの樹種で
あっても心材であることにより十分に発揮さ
れる。辺材が含まれる場合は、防腐・防蟻処置
を行うことが望ましい。(フラット35仕様書)

心材の耐久性区分D1 の樹種の心材
のみを用いた製材は、(中略)薬剤による処理
の適用を省略できる(公共建築工事仕様書)

との記載があり、特定D1樹種であっても辺材が含まれる場合は薬剤処理を行う必要があると読み取れます。実際に土台等で流通している集成材が心材だけで構成されてない事もまま見かけます。辺材が含まれている事が多いと言えますし、それらを管理するのはなかなか難しいです。

その為、腐朽菌やシロアリの被害を受けやすい土台は特にヒノキやベイヒバを使っているからと言って過信せずに、木材保存処理を行う事が望ましいといえます


上記は左からスギ未処理辺材、ヒノキ未処理辺材、ヒノキ未処理心材、ヒノキSOUFA塗布処理辺材です。確かに、心材はやや食害が少ないと言えますが、処理済みに対して一まわり小さい印象を受けます。3週間の試験期間で木片を取り上げており、それ以上放置すればもっと大きく食害される事でしょう。「シロアリは目の前にある食べやすい物を食べるのだろう」というのが印象です。

なお、保存処理がされている木材はほぼ食害がありません。

仮に、ヒノキ心材だけで土台を作ったとしても、やや心もとないと言えるでしょう。しかし、これらの保存処理も完ぺきではなく、シロアリは1mmの隙間があれば入り込んでくると言われています。ですから、住宅の施工現場で吹き付けてもその隙間や、未処理個所から入り込んでくる可能性は十分にあります。シロアリ処理、防腐処理に絶対はありません。

現代では、現場施工だけではなく工場で薬剤を木材に含侵させるという方法もあります。乾式防蟻防腐処理と言って、安全性の担保された薬剤を圧力をかけながら木材に浸透させる方法です。毒性も低いようなので、住宅への使用にも問題が無いとされています。水を使用しない方法なので、寸法が狂う事が少なく施工面でも安心です。デメリットはやはりコストでしょうか。

そして、実際の現場では住宅建設会社の中でも、「土台の木材の防蟻防腐処理を必須としている」という会社もある一方で、「性能表示の認定取得はD1樹種を使用する場合は基準を満たすと考えている」と考えている会社もあり、検査員もそこまで詳しい知見が無い為、例えば土台にヒノキが使われていたならばOKとするケースが多いようです。

木材防蟻防腐に絶対はありません。ただ、長く使用する部材であればあるほど、出来る限りの対策が望ましく、特に住宅である場合、住んだ後に処理する事は事実上難しい為、多少コストが上がっても新築時に処理する事をお勧めします。

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