2017
03.02

不燃木材の市場規模【ニーズはあるのか?】

不燃木材の市場規模はどの程度なのでしょうか?またこれからニーズはあるのでしょうか?
それらを個人的主観で書いてゆきたいと思います。

あくまでも個人的主観です。

不燃木材という限られた材料なので、それらしきデータが見当たりませんでした・・・ごめんなさい。
という事で肌感覚でお話しします。

あまり盛り上がっていないと思います。

弊社はセルロースに効果の高いホウ素系難燃剤soufaを販売しています。
木材用の難燃剤としても出荷しており幾つかの木材メーカーやそれに準ずる企業様へも出荷しています。

また、自社グループでも不燃木材の研究を行っています。

そこで何年も前から感じている事があります。
不燃木材マーケットはブルーオーシャンだと。ただ、これには悪い意味も含まれています。
確かに不燃木材はまだまだ普及が見込まれる場所もありますし、東京オリンピックに向けて需要が増えることも確実です。新国立競技場にも不燃木材が利用されるようですから各社色々を考えています。弊社にも不燃木材の製造に関してはよくご相談を頂きます。

初めての不燃木材認定はアサノ不燃が取得した2001年になりますので、かれこれ15年前です。それから幾つかの会社が不燃木材認定を取得しました。
しかし・・・市場はあまり盛り上がっていません。
多くの企業が参入している割には景気のいい話を聞かないのです。

仕事がら、建築士の方とお話しする機会が多いのですが「不燃木材」というテーマにたどり着く前に他の材料で解決できる事がほとんどであると言っていました。
不燃木材の情報自体が普及していないので判断のテーブルにすらのぼらないと言う事の様です。

弊社はこの様に分析しています。

不燃木材マーケットはまだまだ未成熟で可能性が大きい
⇒縮小している林業関係者が多額の投資をし不燃木材を開発
⇒素晴らしい製品なので「売れるはず」と考える
⇒しかし、マーケットはわざわざ木材を利用する必要が無い。その他の不燃材で足りてしまう事が多く、価格メリットも無いので置き換えない
⇒木材独自の販路や使用方法、PR方法を考え新しい需要を喚起する必要あり
⇒その為にはノウハウと資金が必要
⇒製品開発に資金を充当しすぎた為PR資金不足(もしくはここまでたどり着いていない)

この流れは、大工さんが衰退した流れとよく似ています。
「良い家を作っていれば客は分かってくれるはず。お客さんと利益は自然についてくる。」と言っていた大工さん。
いまでは大工の棟梁が作るよりも安価で精度の高いプレカット木材で住宅が組み上がってしまいます。職人技術が高く評価され続けているのは機械式時計位ではないでしょうか?

職人技が生き残れるのは、極めて嗜好性が高いものなのではないかと思います。
建材は一般的な物なので職人技が生き残り続けるのは難しいかもしれません。

職人の技術は唯一無二であり、引き継ぐべきものですが多くの場合、安価でより便利な物が出てきた場合は置き換えられてしまいます。

もともと製造業の会社が中心となり開発している不燃木材が多いので、上記の様な流れ、発想になってしまう事は必然だと思います。多くの企業の方とお付き合いをしていますが、特に地方の製造業の方はPRに資金投下するという習慣がないようです。

不燃木材に関して言えば、どうしても価格が高くなってしまうので既存商品の置き換えという考え方は通用しないのではないだろうかと考えています。

木材が不燃化されれればいままで利用できなかった場所に木材を利用できるようになり、市場が活性化されると言われていますが本当にそうでしょうか?
実際の現場では、木材を利用しないデザインや表面がツキ板の不燃合板でも多くが代用可能です。

15年間にこれだけ多くのプレーヤーがマーケット参入しているにもかかわらず、いまだに大きなマーケットに成長していないというのは、「販売・PR」から目をそらしている昔ながらの気質に問題があると私は考えています。

各社、ピンポイントでの施工実績は順調に増やしているようです。ただし爆発力にかけます。これはオリンピックを過ぎても変わらないと思います。

弊社が考えている今後の不燃木材普及のキーポイントは「置き換え」です。
ブルーオーシャンは確かに魅力的ですが、そこにマーケット自体を作りださなければならず非常にパワーが必要です。
それではなくレッドオーシャンだとしても既存製品に対して置き換える事が出来る製品であれば売り上げの見込みは立ちやすくなります。

不燃木材が既存の不燃材料に勝るポイントは何なのか?価格なのか質感なのか?施工性なのか?
これらにおいて優位性が無いのであれば今後も不燃木材は普及はしないと思います。

弊社は元々木材の不燃化を研究しています。
また、不燃化に際して利用している不燃液の製造販売を主たる業務としています。その為現在では様々な企業のR&Dからご連絡を頂くようになり、各社へ製品を供給しています。
不燃木材だけでは非常に限定的なマーケットですがもう少し視野を広げると面白い世界が広がっている様な気がしています。

最近では不燃木材のご相談よりもその他のご相談の方が多くなっています。

とはいっても、弊社は元々「減災」という考え方からスタートしたNPO団体を起源としています。ですから燃えない住宅創り=木造の不燃化というテーマはこれからも追及してゆきます。

詳しくは公式サイトでご確認ください。
SOUFA公式サイト

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